
2021.12.10
美幌町とともに行う、BOTANISTのサステナブルな森づくり。
2021年に開始した、BOTANISTの森づくり。10月には、植林を行いました。 美幌町の森とはどのような森なのか。森はどのように機能するのか。BOTANISTの森に期待する未来とは。美幌町役場の担当者である藤田知典氏にお伺いします。
美幌町とともに行う、BOTANISTのサステナブルな森づくり。
広葉樹を増やすことで、多様な森を実現する。
BOTANISTは2021年より、北海道の美幌町での森づくりを開始しました。目指すのは、持続性と多様性のある森の実現です。
美幌町での森づくりにおいて、ご協力をいただいたのは美幌町町役場で森林管理を行うみなさん。今回は耕地林務グループの藤田さんへ、美幌町の森、そしてBOTANISTの森について、お話を伺います。
美幌町にある森林は、もともと広葉樹林が多く広がる自然豊かな森でした。しかしその状況は戦時中に一変。「軍用資材として木材を次々と伐採してしまった」と藤田さんは語ります。
「当時美幌町の森は7割ほどが伐採され、当時の豊かな森はほとんど失われてしまったのです。美幌町は林業に力を入れている町だったこともあり、戦後、かなりの数の植林を行いました。これは美幌町に限らず日本の林業の多くがそうなのですが、戦後に植林された森は、ほとんどが針葉樹林です。成長が早く、加工して使いやすいから。現在、広葉樹林は非常に少ないと言われています」
針葉樹林が戦後大幅に増え、広葉樹林は激減。加工がしやすく使いやすいものを増やした結果、森の多様性が危機にさらされている点が指摘されているのです。
「たとえば森のバランスが崩れると、森で生活する動物にも影響がでます。わかりやすい例をひとつ挙げれば、熊やエゾシカが人のいる住宅街や田畑に出てきてしまうことにつながる。彼らは広葉樹の実などを餌にしていますから、森が針葉樹ばかりになると、食べるものがなくなりますよね。だから、人がいる場所に降りてきてしまう。森が変わったことで仕方なく起こっていることなのです。もちろん、だから今度は針葉樹を減らして広葉樹ばかりにしようと言いたいのではありません。森の中に樹種の幅を広げ、多様性を生み出すことが必要なのだと考えます。どの木がいい、悪い、ではない。それぞれに役割があるため、様々な木が必要です」
正解がわかるのは、100年後。
ずっと続いていく活動に。
今回BOTANISTの森に植栽したのは、広葉樹が中心。減ってしまった広葉樹を、少しずつ増やしていこうとしています。2021年秋の植栽では、ハンノキを約1000本植えました。
「まずBOTANISTにその成分が使われているということで、象徴的な広葉樹、白樺をの苗木をご用意しました。ただし今年は記録的猛暑や降雨量の減少が原因で、残念ながら全て枯れてしまい、代わりに他の種類の広葉樹も用意しようと考えたのです。そこで候補に挙がったのがハンノキ。美幌町にもともと多く自生していた樹種でもあります。」
藤田さん曰く、「林業には正解がない」。今回の植栽で終わりではなく、ずっと活動を続け、手探りで正解を探し続けることが必要だと言います。
「今回は、1ヘクタールに2000本を植えることを前提に植栽する位置などを設計しています。ただし、これが正解かどうかはわかりません。なぜなら正解がわかるのは、木々が成長したき。早くても40年後、長ければ100年後。植えたら終わりではないし、自分たちの次の代の人々まで引き継いで見守っていくべき森なのだと思います」
自然にも動物にも、人間にも。
みんなにとってよりよい、多様性のある森づくり。
BOTANISTが目指すのは、持続的で多様性のある森づくり。多様性のある森とはどのような森なのか。そのような森づくりを行うことでどのような未来が期待できるか。最後に藤田さんへ、改めて聞いてみました。
「いい木と悪い木があるわけではないことをは、先ほどもお話ししました。いくつもの樹種が共存していることが大切なのです。木によって根のはり方や含んでいる栄養というものが違います。特定の木ばかりが多くなると、その場所における土壌の栄養が偏ってしまったり、周辺の川に変化を及ぼしてしまったりする。多様な森はそういったことを防いでくれます。多様な森は、多様な生物と共存できる森であり、災害にも強い森です」
「よりよい森づくりは、環境や動物といった自然保護に関係することはもちろん、雇用を生み出すことなど、多くの点でSDGsの達成とも関連していると言えます。SDGsやFSC認証(※)といったことを意識しながら、今後も協業して多様性のある森づくりを行っていきたいです」
FSC認証:持続可能な森林活用・保全を目的として誕生した、「適切な森林管理」を認証する国際的な制度。